3音(S3)が聴こえづらいのはなぜ?良い勉強法は?
聴診器のイヤーピースから聴こえてくる音、聴診音はおおよそ20Hz~1kHzです。中には呼吸音の成分として2kHzという報告もありますが。。。
この周波数帯域の中で100Hz以下の「低音成分」の聴き取りが特に重要になるのは「心臓聴診」です。
心臓の聴診では、S1,S2,S3,S4などの「心音」と駆出性雑音や逆流性雑音の「心雑音」を聴きとらなければなりませんが、「心音」と「心雑音」はどちらが聴き取りが難しいと思いますか?
答えは「心音」です。心音は低周波で、心雑音は高周波だからです。
話は変わりますが、オーケストラの演奏をイメージしてください。
例えば有名な曲で「カルメン(ビゼー)」があります。この曲の出だしを聞いたときに最初に聴こえる音はどの楽器の音ですか?
恐らく無意識のうちに主旋律を演奏するバイオリンやシンバルの音が耳に入ってくると思います。これらの楽器の音は「高音(高周波)」でだからです。他方、コントラバスの音は聴こえづらいと思います。コントラバスの音色を知っていれば全体演奏の中からコントラバスの音を聴きとることができます。しかし、音色を知らない場合は聴きとることが困難です。人間の耳は「低音より高音の方が聴こえやすい」という特徴があるのです。
心音の話に戻ります。
S1,S2,S3,S4の周波数を比べてみると、S3,S4はS1,S2より、もっと「低周波数」でしかも音圧(音量)も小さい。そのため聴きとるのがとても難しのです。この音を聴きとるためには、どのタイミングでどのような音程の音が聴こえるのかを知り、そのタイミングを「狙って」聴かなければ聴こえません。
では、どのような方法で学習したらよいのでしょうか?
私のお勧めは、kikuzosound.comの音を聴くゾウで聴くという方法です。kikuzosound.comには、心音ライブラリー、ステップワイズ学習法、オースカレイドなどのコンテンツがあります。Webサイトに掲載したこれらの音は、スマホやPCの音量を上げてS3を聴くことができるのです。端末に聴くゾウを接続すれば、自分自身の聴診器で音を聴くことができます。
はじめは音量を上げS3を聴きとりやすくします。S3のタイミングがわかった後に、徐々に音量を下げていきます。この学習によりS3を狙って聴くという技術を身につけることができるでしょう。